場所・人・時間 

 

児童憲章

 ・「児童憲章」は、戦後、日本で初めてすべてのこどもの権利を保障し、その幸福を図

 ることを目的として定められた宣言です。

 以下は、その前文です。

 

われらは、日本国憲法の精神にしたがい、児童に対する正しい観念を確立し

すべての児童の幸福をはかるために、この憲章を定める。

         児童は、人として尊ばれる。

         児童は社会の一員として重んぜられる。

         児童は、よい環境のなかで育てられる。

 

 

「人」が中心

  ・前述の児童憲章に唱えられている通り、こどもの発達には良好な環境が不可欠です。

 ・保育を考える場合、一般的に「環境」は次の3つに大別されます。

    /妖環境

    ∧的環境

   J顕重環境

 ・様々な「環境」の中でも、もっとも発達に望ましいものは、こどもの表情や動きなどに

  応じて、適切かつ速やかに答えることのできる環境です。したがって、先生やともだ

   ちなどの人的環境が、保育の中心課題になります。

 

「絆」から「縁」へ

 ・近年、人間関係の希薄化とその少子化への影響が懸念され、国は平成16年6月に

  「少子化社会対策大網」をまとめています。

  このなかで、少子化対策のひとつとして「子育ての新たな支え合いと連帯−家族の

  きずなと地域のきずな−」という項目を掲げ、家族や地域での人のつながりを見直

  すよう働きかけています。

  ・以後、数年経過しましたが、具体的な成果はあがっていないように見えます。

  その原因のひとつとして考えられることがあります。

  それは、人のつながりを「きずな(絆)」と表現するに止まっていることです。

 ・「絆」とは、「ほだし」つまり脚にくくりつける綱や縄のことです。時には一方の意志や

  願いを妨げることもありえます。ですから、広がりにくいのです。

 ・お互いのこころをつなぎ、なおかつ押し付けや束縛にならないものがあります。

  それは「えにし」つまり「縁」です。

  「縁」は、人と人との空間的なつながりを指すもので、時と場合に応じて柔軟に変化

   することができます。

 ・ですから、保育で大切なことは「絆」ではなく「縁」を育むことなのです。

  例えば、『日本時事評論』所収の「子育て四訓」ではつぎのように表現されています。

 

子育て四訓

 一、乳児はしっかり肌を離すな

 一、幼児は肌を離せ手を離すな

 一、少年は手を離せ目を離すな

 一、青年は目を離せ心を離すな

 

 

「縁」と「因」

 ・仲町では、仏さまの教えを保育の基盤としています。そこでは「縁」と対をなしている

  言葉があります。

   それは、「因」です。「因」は人と人との時間的なつながりのことを指します。

  仏教では、この「因」と「縁」によって、それぞれの「いのち」が自己と世界を結び、過

  去への感謝と未来への希望をもたらしていることを教えてくれます。

 ・人と人とのつながりは、時間の流れがあってこそ成り立つものだということです。

 

保育とその時間

 ・このところ、幼稚園・保育所ともにその保育時間が長くなる傾向にあり、幼稚園では

  「預かり保育」、保育所では「延長保育」がさかんに実施されています。

 ・こうした傾向について、いわゆる「長時間保育」はレディネス(主に就学時の学習に

  備えた準備)の獲得上何ら妨げにならないという調査も、国内外で実施されていま

   す。しかし、レディネスとは客観的な指標であるため、発達上重要な「こころ」の要素

   は除外されてしまうという実情があるのです。

 

 ◆見えないものこそ大切に

  ・仲町では、いのちやこころ、時間といった目に見えないものこそ、保育に不可欠な環

   境だと考えています。

  ・そのため、どうしても先生や子どもたちが日によって入れ替わるような「預かり」や

  「延長」の導入を見合わせています。

 ・その分、ご家庭には時間的な負担をお願いすることになりますが、お子様と過ごす

  何げない時間こそ、発達と保育の両面で重要な要素になっていくのです。

  ・この項目のまとめとして、元公立小学校の教諭で現ミネルヴァ心理研究所所長の森

  本邦子氏の一文を紹介します。

 

幼児が知能と情緒をバランスよく発達させながら成長していくには

「場所・人・時間」の三要素が不可欠です。

場所は家庭、人は家族、時間は日常生活の流れです。 

                                                 森本邦子(都私幼連だより第214号より)

 

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